5.5 相対立体配置

5.5 相対立体配置

  

図5.7.1

動物の筋肉内に見いだされる乳酸、いわゆる肉乳酸は右旋性を示す。これだけの事実から、肉乳酸の立体配置は図5.7.1-17図5.7.1-18のいずれであるかを決定できるだろうか。分子を目で見ないかぎりそれは不可能である。そこで立体化学の建設者たちは、目に見えない分子の構造について1つの仮定を立て、その仮定の上に1つの論理的な体系を組み立てた。それが相対立体配置(relative configuration)である。

    1. グリセルアルデヒドHOCH2CH(OH)CHO の1対のエナンチオマーについて、右旋性を示すものが、Fischer投影図で示したとき図5.7.2-21の立体配置を持つエナンチオマー、左旋性を示すほうが図5.7.2-22の立体配置を持つエナンチオマーと仮定する。

図5.7.2
  1. 図5.7.2-21および図5.7.2-22の不斉炭素原子の立体配置を変えないで、図5.7.2-21および図5.7.2-22から誘導できる化合物をそれぞれD系列L系列と定義し、D(+)-グリセルアルデヒド、L(-)-グリセルアルデヒドなどと書く。この立体配置の定義、表現を相対立体配置という。