4.5 シクロプロパン・シクロブタン・シクロペンタン

4.5 シクロプロパン・シクロブタン・シクロペンタン

環状の飽和炭化水素であるシクロアルカンCnH2nのうち、n=3~5のシクロプロパン(図4.5.1-42)、シクロブタン43、シクロペンタン44はいずれも∠C-C-Cが正四面体角からずれている。シクロプロバンは化学反応性は大きいが、環としてはかたく、シクロヘキサンのように反転することはない。しかし1,2-二置換体ではリガンドが環の上方に位置するか下方に位置するかによって、シス・トランス異性が生ずる。


図4.5.1

たとえば1,2-ジメチルシクロプロバンにはシス形(図4.5.2-45)とトランス形46の2つの幾何異性体がある。


図4.5.2

シクロブタン(図4.5.3-43)は長い間正方形の平面分子と考えられていたが、現在では少なくとも気相や液相では正方形分子ではなく、2つに折った薬包紙のような形をしていて、シクロヘキサンと同じような反転をしていると考えられている。


図4.5.3

シクロペンタンもまた平面構造ではなく、シクロブタンと同じよう封筒形(図4.5.4-52)または半いす形53構造をとっていると考えられる。ただ52では環の反転はなく、起こるのは封筒の先の炭素が次々と交代していく過程である。封筒形では4個の、半いす形では3個の炭素原子が一平面上に並ぶ。


図4.5.4